気仙沼のリアス・アーク美術館には、
東日本大震災の「被災物」が展示されています。
瓦礫ではなく、生活の記憶を宿したモノとして、
被災した学芸員が拾い集めたものです。
この展示に突き動かされた姜信子さんは、
大阪で「被災物」をモノ語るワークショップを始めました。
傷ついたモノを前に、人は思わず記憶の底の声を語りだしました。
この本は、「復興」の物語からはみだす、
小さな〈モノ語り〉の記録であり、
他者の記憶の継承という問いに対する、
真摯な応答の記録です。
当事者/非当事者の境界を越えて、
命の記憶を語りつぐために。
カラー32頁。志賀理江子さんの撮り下ろし写真16頁。