心の傷もわかりあえなさも、
すべてを詩にしたとき、母を愛せるようになった——
痛みの声を聴く詩人が、母、父、心の傷、
そして回復までの日々を語る。
奥歯を噛みしめて耐えること、奥歯を噛みしめて
愛すること。何もできなかったあの頃。それは、
詩のうまれゆく時間であった。
『詩人キム・ソヨン 一文字の辞典』(クオン)で
人気を博した詩人の自伝的エッセイにして、
生を肯定する詩論でもある貴重な1冊。
寒さに震える心をそっと包み込む、
かぎりなくあたたかな30篇のエッセイ。
キム・ソヨンの手紙「日本の読者へ」と、
三角みづ紀(詩人)による応答エッセイを付す。